お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「それじゃ足りないの?だったら、私が家に入れる分を増やすよ。なんで相談してくれないの?そんなに沢山働いたら、倒れるに決まってるじゃない!」
真帆はまた声を荒らげてしまう。百貨店の仕事はシフト制で、小夜子は土日は大抵仕事だ。
その分平日に休みを取っていると思っていたのに。そのことに気がつけなかった自分に腹が立った。
小夜子はそんな真帆から視線を逸らしたまま、ポツリと呟いた。
「…小鳥遊のおじさまから聞いたのよ。真帆ちゃんが大学を行きなおそうと思ってるって」
小夜子は小さくため息をついてとっぷりと日が暮れた窓の外を見た。
「おじさまは、真帆ちゃんは頑張り屋だから大学の費用くらい出してやるって言って下さったわ。…でも、お母さん、あなたのお爺さまとの約束が引っかかってすぐには頷けなかったの…」
小夜子は当時決まりかけていた縁談を蹴って父と一緒になったのだ。その時に、どんなに苦労をしても小鳥遊家には泣き付かないと祖父に啖呵を切ったのだという。
父の給料が安くて貧しかったときも、真帆の大学の費用を工面できなくなった時も、その言葉を守り切った。
「…でもよく考えたら、そんなの私のくだらない意地で、そのために真帆ちゃんの未来をつぶすことになるのかもしれないと思ったら、なんだか申し訳なくて…やっぱりおじさまに頼んでみようかと迷ってる間に、せめてちょっとでも足しになればと思って…」
「そんなこと私がいつ頼んだのよ!」
真帆はまた声を荒らげてしまう。百貨店の仕事はシフト制で、小夜子は土日は大抵仕事だ。
その分平日に休みを取っていると思っていたのに。そのことに気がつけなかった自分に腹が立った。
小夜子はそんな真帆から視線を逸らしたまま、ポツリと呟いた。
「…小鳥遊のおじさまから聞いたのよ。真帆ちゃんが大学を行きなおそうと思ってるって」
小夜子は小さくため息をついてとっぷりと日が暮れた窓の外を見た。
「おじさまは、真帆ちゃんは頑張り屋だから大学の費用くらい出してやるって言って下さったわ。…でも、お母さん、あなたのお爺さまとの約束が引っかかってすぐには頷けなかったの…」
小夜子は当時決まりかけていた縁談を蹴って父と一緒になったのだ。その時に、どんなに苦労をしても小鳥遊家には泣き付かないと祖父に啖呵を切ったのだという。
父の給料が安くて貧しかったときも、真帆の大学の費用を工面できなくなった時も、その言葉を守り切った。
「…でもよく考えたら、そんなの私のくだらない意地で、そのために真帆ちゃんの未来をつぶすことになるのかもしれないと思ったら、なんだか申し訳なくて…やっぱりおじさまに頼んでみようかと迷ってる間に、せめてちょっとでも足しになればと思って…」
「そんなこと私がいつ頼んだのよ!」