お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「いや、しかし真帆だって可愛いじゃないか。そうだな、その伸びっぱなしの髪をなんとかしたらどうだ。そしたら少しは明るくみえるだろう」

 確かにここ最近は事務所の閉鎖に向けて忙しい日々が続いて美容院に行けていなかった。けれど真帆自身はあまりファッションには興味がないタチで正直なところ自分では何も気にならない。

「でも、まとめていれば清潔感はありますし。私はあまり派手な格好は好きじゃないんです」

「いやいや、しかしそれじゃあ…うぉほん。良く聞きなさい真帆」

 義雄が咳払いをしてうやうやしく胸を張った。

「秘書というのはだな。ただ事務作業をしたりスケジュール管理をするだけの人間ではない。つまり、上司が不在の時は来客の相手をすることもあるし、レセプションなどに同行することもある」

 真帆は笑いを引っ込めて大叔父を見た。全然関係ないことを言い出したのかと思っていたがどうやらそうではなかったらしい。真帆は背筋を正して大叔父の話に耳を傾けた。
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