お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「どうせ私も車で帰るんだ、君の家に寄るくらいわけないよ。お母さまのおっしゃるとおり私も心配だ」

 病院までは蓮の車で来た。それだけでも充分申し訳なかったと思うのにこれ以上迷惑はかけられない。

「でも副社長、業務は…」

「一条に任せてきただろう?心配するな。…こういうときは遠慮なく人に頼るもんだ。私は先に行っている、正面に車を回しているから」

 やや一方的に言って小夜子に頭を下げると蓮は病室を出て行った。真帆は少し唖然としてそれ以上は何も言えないままに彼を見送ってしまった。

「良い方ね」

 小夜子が微笑んだ。
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