お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「今日はありがとうございました」
蓮の車に乗り込んだ真帆は運転席の蓮に深々と頭を下げた。とりあえずの母の無事も確認できて頭の血も下がって冷静さを取り戻してみると、今度は今こうやって彼に付き添われていること自体に恐縮した。
多忙を極める蓮にここまでしてもらったことが申し訳ない。
「いや、本当に大事でなくてよかったよ」
蓮は短く言って車をまわす、そしてもう一度駐車スペースに車を停めてから真帆を見た。
「住所をおしえて」
ナビを操作しながら尋ねる彼に真帆は首を振る。
「あの…母にはああ言いましたけど、本当に大丈夫です。最寄駅まで送っていただいたら電車で帰ります」
キャンセルになった蓮のスケジュールは確か業界団体の定例会だったから、それ自体は後に響くものではないが、おそらくいつものパターンだと彼はこの後も会社に戻って仕事をするのだろう。
それだと真帆の家は反対方向になる。
けれど蓮も譲らなかった。
「私も君のお母さまに君を家まで送り届けると約束したんだ。意地を張らないで言いなさい」
「でも…」
なおも言い淀み口をつぐむ真帆の沈黙を蓮は別の方向から解釈したようだった。
「あぁ…」
思いついたように声をあげる。
蓮の車に乗り込んだ真帆は運転席の蓮に深々と頭を下げた。とりあえずの母の無事も確認できて頭の血も下がって冷静さを取り戻してみると、今度は今こうやって彼に付き添われていること自体に恐縮した。
多忙を極める蓮にここまでしてもらったことが申し訳ない。
「いや、本当に大事でなくてよかったよ」
蓮は短く言って車をまわす、そしてもう一度駐車スペースに車を停めてから真帆を見た。
「住所をおしえて」
ナビを操作しながら尋ねる彼に真帆は首を振る。
「あの…母にはああ言いましたけど、本当に大丈夫です。最寄駅まで送っていただいたら電車で帰ります」
キャンセルになった蓮のスケジュールは確か業界団体の定例会だったから、それ自体は後に響くものではないが、おそらくいつものパターンだと彼はこの後も会社に戻って仕事をするのだろう。
それだと真帆の家は反対方向になる。
けれど蓮も譲らなかった。
「私も君のお母さまに君を家まで送り届けると約束したんだ。意地を張らないで言いなさい」
「でも…」
なおも言い淀み口をつぐむ真帆の沈黙を蓮は別の方向から解釈したようだった。
「あぁ…」
思いついたように声をあげる。