お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「…上司とはいえ男に、家まで送ってもらうのは都合が悪い?…だったら君が信頼している方のところまで送ろう」
「え?」
蓮の言っていることの意味が理解できなくて、真帆は聞き返す。
蓮は軽く咳払いをしてもう一度言った。
「だから…恋人がいるから、私に家まで送ってもらうのが困るんだろう?…連絡して来てもらったらどうだ?…とにかくこういうときは一人にならない方がいい。君が恋人と合流するのを見届けたら私は帰る」
そこまで言われてようやく真帆は彼の言葉の意味を理解する。
ハンドルに腕を置いて静かな眼差しで真帆を見つめる蓮を、真帆もじっと見つめ返してから首を振った。
「…いません、そんな人」
蓮が無言のまま目を見張る。
それを見ない振りをして真帆は車の正面に視線を移す。
「恋人がいると言ったのは嘘です」
「…嘘?」
少し掠れた声で蓮が尋ねる。
真帆は前を見つめたままこくんと頷いた。
「…私には石川常務のお話を上手にお断りすることができなさそうだったから、そうしておいた方がいいかなぁって…」
最後まで言い終わらないうちに、蓮が大きくため息をついたような気配がして、真帆は隣に目を向ける。
彼はハンドルを抱えるように前にもたれかかり、顔を埋めていた。
真帆は慌てて言葉を付け足す。
「あの…常務に嘘をついてしまったこと…申し訳ありませんでした」
「…」
「え?」
蓮の言っていることの意味が理解できなくて、真帆は聞き返す。
蓮は軽く咳払いをしてもう一度言った。
「だから…恋人がいるから、私に家まで送ってもらうのが困るんだろう?…連絡して来てもらったらどうだ?…とにかくこういうときは一人にならない方がいい。君が恋人と合流するのを見届けたら私は帰る」
そこまで言われてようやく真帆は彼の言葉の意味を理解する。
ハンドルに腕を置いて静かな眼差しで真帆を見つめる蓮を、真帆もじっと見つめ返してから首を振った。
「…いません、そんな人」
蓮が無言のまま目を見張る。
それを見ない振りをして真帆は車の正面に視線を移す。
「恋人がいると言ったのは嘘です」
「…嘘?」
少し掠れた声で蓮が尋ねる。
真帆は前を見つめたままこくんと頷いた。
「…私には石川常務のお話を上手にお断りすることができなさそうだったから、そうしておいた方がいいかなぁって…」
最後まで言い終わらないうちに、蓮が大きくため息をついたような気配がして、真帆は隣に目を向ける。
彼はハンドルを抱えるように前にもたれかかり、顔を埋めていた。
真帆は慌てて言葉を付け足す。
「あの…常務に嘘をついてしまったこと…申し訳ありませんでした」
「…」