お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 今は親しくていても、やっぱり小鳥遊家は真帆の家とはスケールが違うと真帆は思う。普通の家庭に育った真帆にはちょっと考えられない考え方だ。
 小鳥遊家のような家の娘は、いわゆる"悪い虫"がつかないようにいい学校へ行き、親の目の届く範囲の場所で働くのが当たり前だ。 その中で、お見合いなどと大げさな話ではなくても、さりげなく"親の望むような"出会いを作られているというケースは珍しくはないのだろう。

「私、藤堂さんにはお会いしたことはないけれど、おじいさまの話ではちょっと堅物で融通が効かないって話だから。真帆みたいな素直で普通の子に弱いんじゃないかって思ったんだけど」

 美咲はいたずらっぽく肩を揺らして笑った。

「もうっ、美咲姉さんったら…。私なにも知らないで恥をかいちゃったじゃない」

「さっきも言ったけど、知ってたらあなた嫌がったでしょう?…それにその方が自然体の真帆を見てもらえて…良い化学反応が期待できると思ったの」

 なんて勝手なと思いながらも真帆は頬が熱くなるのを感じた。"良い化学反応"という言葉に定食屋での蓮とのやりとりが頭に浮かんだ。
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