お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
真帆の背筋が視線が自然と伸びる。堂々としていなくては、と思った。
金曜日は緊急事態だったから手を繋いで会社を出たのであって、何もやましいことはないと蓮が言ってくれるはずだから。
他の社員はともかく、これからも多くの時間を過ごすであろう秘書室のメンバーには疑念を抱かれないようにしなくてはと思う。しかしそんな期待とは裏腹に蓮から出た言葉は、およそ真帆が想像していたものとはかけ離れたものだった。
「プライベートなことが、君たちにははっきりと言っておく必要があると思う。…つまり、噂のとおり私は入江さんとお付き合いをさせてもらうことになった」
「…え!?」
蓮の話に部屋の中の誰よりも驚いて声をあげてしまったのは他でもない真帆だった。慌てて両手で口を塞ぐが、時すでに遅し、部屋の全員の視線を浴びて真っ赤になってしまった。
一方で一番驚いていてもおかしくはないはずの佐藤と田中は平然として真帆を見ている。まるでそんな話は知っていましたとでもいうように。
「入江さん…?」
おそらく、さっきのスケジュール確認の時にでも事情を聞いていただろう一条はやはり平然としていて、声をあげた真帆を訝しげに見た。
蓮が眉を寄せる。
「うちは社内恋愛禁止ではない。それは役員である私も同じだろう。だが、一緒に働く彼らがやりにくく感じないようにしなくては。私たちが付き合っていることは隠したりせずにきちんと伝えて、その上で業務上は支障がないようにするからと伝えておくべきだ」
金曜日は緊急事態だったから手を繋いで会社を出たのであって、何もやましいことはないと蓮が言ってくれるはずだから。
他の社員はともかく、これからも多くの時間を過ごすであろう秘書室のメンバーには疑念を抱かれないようにしなくてはと思う。しかしそんな期待とは裏腹に蓮から出た言葉は、およそ真帆が想像していたものとはかけ離れたものだった。
「プライベートなことが、君たちにははっきりと言っておく必要があると思う。…つまり、噂のとおり私は入江さんとお付き合いをさせてもらうことになった」
「…え!?」
蓮の話に部屋の中の誰よりも驚いて声をあげてしまったのは他でもない真帆だった。慌てて両手で口を塞ぐが、時すでに遅し、部屋の全員の視線を浴びて真っ赤になってしまった。
一方で一番驚いていてもおかしくはないはずの佐藤と田中は平然として真帆を見ている。まるでそんな話は知っていましたとでもいうように。
「入江さん…?」
おそらく、さっきのスケジュール確認の時にでも事情を聞いていただろう一条はやはり平然としていて、声をあげた真帆を訝しげに見た。
蓮が眉を寄せる。
「うちは社内恋愛禁止ではない。それは役員である私も同じだろう。だが、一緒に働く彼らがやりにくく感じないようにしなくては。私たちが付き合っていることは隠したりせずにきちんと伝えて、その上で業務上は支障がないようにするからと伝えておくべきだ」