お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
手の届かないはずの人と気持ちが通じた嬉しさは、同時にそこはかとない不安を伴うものだったけれど、こんな風に笑う彼を見ていると、大丈夫かもしれないという気持ちも湧いてくる。
そんな気持ちを抱きしめて真帆はくすくすと笑った。
「…もしかして、キスも初めてだった?」
不意に笑いをひっこめて、茶色い瞳でじっと真帆を見つめて、蓮が静かに尋ねる。
真帆は少し慌てて頬を染めた。
「キ、キスは、初めてじゃありません」
じっと見つめる茶色に捕らえられたままでいたら、どうにかなってしまいそうで、そこから逃れるように真帆はかぶりを振った。
甘酸っぱい記憶の中に、彼氏とも言えないような淡い思い出の人がいて、一度だけ唇を交わした。
けれど今から思い返してみればとても拙いものだったと思う。
「ふうん…」
蓮は面白くなさそうに鼻で答えて真帆の頬に手を当てた。
真帆はゆっくりと瞳を閉じる。
もう何度目だろう、彼にそうされるのは。
角ばった大きな手が真帆の頬に触れると、なんだか手懐けられた子猫のような気分になってしまうから不思議だった。そのまま喉を鳴らして全てを任せてしまいたくなる。
そんな気持ちを抱きしめて真帆はくすくすと笑った。
「…もしかして、キスも初めてだった?」
不意に笑いをひっこめて、茶色い瞳でじっと真帆を見つめて、蓮が静かに尋ねる。
真帆は少し慌てて頬を染めた。
「キ、キスは、初めてじゃありません」
じっと見つめる茶色に捕らえられたままでいたら、どうにかなってしまいそうで、そこから逃れるように真帆はかぶりを振った。
甘酸っぱい記憶の中に、彼氏とも言えないような淡い思い出の人がいて、一度だけ唇を交わした。
けれど今から思い返してみればとても拙いものだったと思う。
「ふうん…」
蓮は面白くなさそうに鼻で答えて真帆の頬に手を当てた。
真帆はゆっくりと瞳を閉じる。
もう何度目だろう、彼にそうされるのは。
角ばった大きな手が真帆の頬に触れると、なんだか手懐けられた子猫のような気分になってしまうから不思議だった。そのまま喉を鳴らして全てを任せてしまいたくなる。