お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 言いたい放題言われてしまったが、不思議と真帆の胸に怒りの感情は湧いてこなかった。代わりにチクリと針が刺さるような痛みが走る。彼女たちの言うことは至極真っ当だと思った。
 真帆はともかく、蓮は本当であれば然るべきところから持ち込まれる縁談の相手と結婚するはずだったのだ。間違いで来てしまった真帆と付き合っている場合ではないのかもしれない。
 そのことに気がつきながらも見ないフリをして突き進んでしまっているけれど、改めてその事実を突きつけられて、真帆は雷に打たれたように動けなくなる。
 手元の資料をぎゅっと握りしめた。

「すみません、悪い子たちじゃないんですけど…」

 本当に申し訳なさそうにゆかりが真帆を見る。真帆は慌てて首を振った。

「大丈夫です!気にしないで下さい!」

 同じ課というだけのゆかりに謝られるいわれなど何もない。さっきの2人だって当たり前の話をしているだけで、悪口とすらいえないような気がする。
 それくらい、側から見れば真帆と蓮は釣り合わないように見えるのだ。
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