お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「ほんと最悪ですよね!あれは!あっちこっちに着いちゃって、私髪に着けたまま家まで帰っちゃったこともあるんですよ!」
ゆかりが自慢の巻毛を揺らす。
真帆は一緒になって笑いながら、秘書室の廊下でシュレッダーゴミを真帆の頭から取ってくれた蓮の大きな手を思い出していた。
さっき聞いた女性社員の噂話は胸にわだかまっているけれど、少し心が凪いでいくような気がするから不思議だった。
「私、副社長とはこの間のエントランスで初めてご挨拶しただけですけど、やっぱり素敵だなと思いました。でもだからこそお相手はあの秘書室のお姉さま方じゃない方がいいなって思います。入江さんみたいな普通で良い方と付き合ってくれたら…その方が夢があるじゃないですか。応援してます!」
「だから、私は別にそんなんでは…」
否定しながらも真帆の胸に暖かいものが灯った。蓮とのことを打ち明けるわけにはいかないが、1人だけでも味方がいると思うと素直にありがたいと思う。
けれど一方で、"夢がある"と言った彼女の言葉にわずかな胸の痛みを感じてもいた。
夢…今、自分は夢の中にいるのだろうか。
現実の世界で蓮と結ばれることはあるのだろうかと思いをはせて、真帆は心の中でため息を吐いた。
ゆかりが自慢の巻毛を揺らす。
真帆は一緒になって笑いながら、秘書室の廊下でシュレッダーゴミを真帆の頭から取ってくれた蓮の大きな手を思い出していた。
さっき聞いた女性社員の噂話は胸にわだかまっているけれど、少し心が凪いでいくような気がするから不思議だった。
「私、副社長とはこの間のエントランスで初めてご挨拶しただけですけど、やっぱり素敵だなと思いました。でもだからこそお相手はあの秘書室のお姉さま方じゃない方がいいなって思います。入江さんみたいな普通で良い方と付き合ってくれたら…その方が夢があるじゃないですか。応援してます!」
「だから、私は別にそんなんでは…」
否定しながらも真帆の胸に暖かいものが灯った。蓮とのことを打ち明けるわけにはいかないが、1人だけでも味方がいると思うと素直にありがたいと思う。
けれど一方で、"夢がある"と言った彼女の言葉にわずかな胸の痛みを感じてもいた。
夢…今、自分は夢の中にいるのだろうか。
現実の世界で蓮と結ばれることはあるのだろうかと思いをはせて、真帆は心の中でため息を吐いた。