お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
真帆は赤い顔のまま「とくには何もありません」と口の中で答える。
「お母様の様子はどう?」
「大丈夫です。ホテルの方の仕事は辞めましたし、もう一週間休んだら百貨店の方へ復帰するみたいです。私がずっとついていなくちゃいけないほどではありません」
蓮はそうと言って少し安堵したようにため息をついた。そして真帆を見上げて微笑んだ。
「じゃあ、二人でどこかへ行こうか」
「え!?」
真帆はまた飛び上がってしまう。
どうしてですかと言いかけて、慌てて口をつぐんだ。どうも真帆の中に、蓮と付き合っているという実感が湧かない。
小夜子の入院中は病院まで送ってくれた蓮と車の中で毎日、口づけを交わした。けれど薄暗いあの時間は現実世界と切り取られた空間のようで、太陽の光に照らされた昼間の世界では相変わらず二人の間には距離があるような気がする。
彼はお見合いの相手だったと、美咲からはっきりと聞かされたというのにそれもやはりどこかで信じられていなかった。
それでいて、事情を初めから知っていたという蓮は、あたりまえのように真帆を"恋人"として扱うのでなんだが気持ちがついていかない。
そんな真帆をよそに蓮は話を進めてしまう。
「お母様の様子はどう?」
「大丈夫です。ホテルの方の仕事は辞めましたし、もう一週間休んだら百貨店の方へ復帰するみたいです。私がずっとついていなくちゃいけないほどではありません」
蓮はそうと言って少し安堵したようにため息をついた。そして真帆を見上げて微笑んだ。
「じゃあ、二人でどこかへ行こうか」
「え!?」
真帆はまた飛び上がってしまう。
どうしてですかと言いかけて、慌てて口をつぐんだ。どうも真帆の中に、蓮と付き合っているという実感が湧かない。
小夜子の入院中は病院まで送ってくれた蓮と車の中で毎日、口づけを交わした。けれど薄暗いあの時間は現実世界と切り取られた空間のようで、太陽の光に照らされた昼間の世界では相変わらず二人の間には距離があるような気がする。
彼はお見合いの相手だったと、美咲からはっきりと聞かされたというのにそれもやはりどこかで信じられていなかった。
それでいて、事情を初めから知っていたという蓮は、あたりまえのように真帆を"恋人"として扱うのでなんだが気持ちがついていかない。
そんな真帆をよそに蓮は話を進めてしまう。