お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
小夜子の言葉
「真帆ちゃん…もしかしてデート?」
土曜日の朝、落ち着かない気持ちで準備している真帆に小夜子が尋ねた。
ちょっと出かけるからとだけ告げたのに、ずばりと当てられて真帆は髪を解かしている手を止めて鏡越しに母を見る。
「…え?」
「デートでしょう。お相手はもしかしてあの藤堂さん?」
「え!」
真帆は危うくクシを落としそうになってしまう。デートだとも告げていないのに相手まで言い当てられてしまい動揺を隠せない。
「な、なんでわかるの…」
家で蓮の話をしたことはないはずだ。
「だって、真帆ちゃん今まで彼氏はいなかったでしょう?就職したばかりでここのところ忙しくしていた真帆ちゃんに会社以外で出会いがあるようには思えないもの。お母さん会社の方は藤堂さんしか知らないけれど、この間病院に付き添っていただいたとき、ただの上司にしては親切だなって思ったのよ」
真帆は、母がおっとりしているようで意外と鋭いことを思い出す。
けれど考えてみればべつに悪いことをしているわけでもないのだ。今まで彼氏がいことがない真帆だから、どのように報告すればいいかわからなかったが、心配症な小夜子には隠さず言っておいた方がいいとも思った。
土曜日の朝、落ち着かない気持ちで準備している真帆に小夜子が尋ねた。
ちょっと出かけるからとだけ告げたのに、ずばりと当てられて真帆は髪を解かしている手を止めて鏡越しに母を見る。
「…え?」
「デートでしょう。お相手はもしかしてあの藤堂さん?」
「え!」
真帆は危うくクシを落としそうになってしまう。デートだとも告げていないのに相手まで言い当てられてしまい動揺を隠せない。
「な、なんでわかるの…」
家で蓮の話をしたことはないはずだ。
「だって、真帆ちゃん今まで彼氏はいなかったでしょう?就職したばかりでここのところ忙しくしていた真帆ちゃんに会社以外で出会いがあるようには思えないもの。お母さん会社の方は藤堂さんしか知らないけれど、この間病院に付き添っていただいたとき、ただの上司にしては親切だなって思ったのよ」
真帆は、母がおっとりしているようで意外と鋭いことを思い出す。
けれど考えてみればべつに悪いことをしているわけでもないのだ。今まで彼氏がいことがない真帆だから、どのように報告すればいいかわからなかったが、心配症な小夜子には隠さず言っておいた方がいいとも思った。