お見合い夫婦の結婚事情～カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています～

「そう…藤堂さん。あのあとお付き合いすることになったの」

　小夜子は眉を寄せた。

「ねえ…あの時は本調子でなかったからお母さん聞き流してしまったけれど、藤堂不動産にいる藤堂さんってことは、藤堂家の方なの？」

　真帆は頷く。

「副社長の藤堂蓮さんだよ」

　真帆の言葉に小夜子はまぁと言って難しい顔で黙り込んでしまった。
　真帆は不安になって小夜子を見つめる。そして自分の不安は当たっていたのだと思った。
　自分のような一般家庭の出身の女が、藤堂家の御曹司とだなんて釣り合わない。母はそれを心配しているのだ。

「お母さん、私…私もお付き合いしていいのかどうかは迷っているのよ。なんだが世界が違うような気がするし…」

　真帆の言葉に小夜子は今度はキョトンとして首を傾げた。

「世界が違う？」

「…そうでしょう？向こうは大企業の創業者一族の御曹司なんだもの。私みたいに普通の女の子じゃ…釣り合わない」