お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「…本当にいろいろ言われたけれど、お父さんと過ごした結婚生活は幸せだったし、真帆ちゃんという宝ものも授かったんだもの、お母さんこれで良かったと思うのよ。今のお仕事だって楽しいし」
真帆は頷いた。
「そうね…。ごめんなさい、お母さん」
真帆が出身のみを卑下して蓮との付き合いを躊躇することは父と母を否定することになるのだ。
真帆にだけはそう思って欲しくないというのが小夜子の気持ちだろう。
「そんなふうに考えちゃダメだよね。…ちょっとなんだか視野が狭くなっていたのかもしれない」
そう言って真帆は微笑む。
目の前が晴れてゆくような心地がした。そうだ、蓮だって君で良かったと言ってくれだじゃないか。
けれどだとしたら、なぜ小夜子はまだ難しい顔をしているのだろうと、真帆は首を傾げる。
小夜子は再び眉を寄せて、よりによって…と呟いて考え込んでいる。
「…お母さん?」
真帆が小夜子を覗き込んだその時、ピンポンと玄関の呼び鈴が鳴った。
小夜子がハッと顔を上げる。そしてにっこりと微笑んだ。
「なんでもないわ。藤堂さんには、一度しか会ったことはないけれどとても親切で素敵な方だなって思ったのよ。お付き合いには賛成よ。さぁ、いらしたわ、いってらっしゃい」
真帆は少しだけ釈然としないものを抱えたまま、頷いた。
真帆は頷いた。
「そうね…。ごめんなさい、お母さん」
真帆が出身のみを卑下して蓮との付き合いを躊躇することは父と母を否定することになるのだ。
真帆にだけはそう思って欲しくないというのが小夜子の気持ちだろう。
「そんなふうに考えちゃダメだよね。…ちょっとなんだか視野が狭くなっていたのかもしれない」
そう言って真帆は微笑む。
目の前が晴れてゆくような心地がした。そうだ、蓮だって君で良かったと言ってくれだじゃないか。
けれどだとしたら、なぜ小夜子はまだ難しい顔をしているのだろうと、真帆は首を傾げる。
小夜子は再び眉を寄せて、よりによって…と呟いて考え込んでいる。
「…お母さん?」
真帆が小夜子を覗き込んだその時、ピンポンと玄関の呼び鈴が鳴った。
小夜子がハッと顔を上げる。そしてにっこりと微笑んだ。
「なんでもないわ。藤堂さんには、一度しか会ったことはないけれどとても親切で素敵な方だなって思ったのよ。お付き合いには賛成よ。さぁ、いらしたわ、いってらっしゃい」
真帆は少しだけ釈然としないものを抱えたまま、頷いた。