お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
もちろん藤堂グループの正式な跡取りである蓮だから誘いは頻繁にあったが、副社長として忙しい中で時間を取るほど興味がもてなくなっているのが実際のところだ。蓮としてもそれには一定の危機感を感じてはいるがこの生活を変えられない以上仕方がないと最近ではやや達観している部分もある。
そんな蓮の内心を知ってか知らずか父はひっきりなしに見合いの話をもってきた。だから、話があるから実家に寄れと父に言われた時点で、蓮の頭に浮かんだのは当然見合いのことだった。
今まで何度断ったか知らないのに、親父も諦めが悪いとうんざりとして行った実家で、蓮を待っていたのは予想を遥かに上回る父の話だった。
「1週間後にお前の秘書室に新人のアシスタントが入る」
実家に着いた蓮の顔を見るなり開口一番、和正はしてやったりと言うように歳より若く見える瞳を輝かせて言った。
「アシスタント…?ですか」
てっきりいつもの"いい人は見つかったか"という決まり文句を言われるものと思っていた蓮は、ややめんくらって父を見た。
互いに食事は済ませていたからリビングのローテーブルには、ウイスキーとグラスが用意されている。そのグラスにウイスキーを注ぎながら和正はふふふときみの悪い笑みを漏らしている。
「…話というのはそのことですか」
蓮はジャケットを脱いでローテーブルを挟んだソファに父と向かい合わせで座る。
「まぁ、そうだな」
父がやたらと嬉しそうなことを訝しみながら。
いったい…蓮の秘書室にアシスタントが入ることの何がそんなに嬉しいのだろうか。
そしてそんな話をするためにわざわざ呼び出した?
業務の話なら昼間顔を合わせた時に言えばいいようなものなのに…いやそもそも蓮の秘書室の人事をわざわざ社長である父が蓮に直接伝える必要があるのだろうか。
いろいろな疑問が頭に浮かび、蓮は父を正面からじっと見た。
そんな蓮の内心を知ってか知らずか父はひっきりなしに見合いの話をもってきた。だから、話があるから実家に寄れと父に言われた時点で、蓮の頭に浮かんだのは当然見合いのことだった。
今まで何度断ったか知らないのに、親父も諦めが悪いとうんざりとして行った実家で、蓮を待っていたのは予想を遥かに上回る父の話だった。
「1週間後にお前の秘書室に新人のアシスタントが入る」
実家に着いた蓮の顔を見るなり開口一番、和正はしてやったりと言うように歳より若く見える瞳を輝かせて言った。
「アシスタント…?ですか」
てっきりいつもの"いい人は見つかったか"という決まり文句を言われるものと思っていた蓮は、ややめんくらって父を見た。
互いに食事は済ませていたからリビングのローテーブルには、ウイスキーとグラスが用意されている。そのグラスにウイスキーを注ぎながら和正はふふふときみの悪い笑みを漏らしている。
「…話というのはそのことですか」
蓮はジャケットを脱いでローテーブルを挟んだソファに父と向かい合わせで座る。
「まぁ、そうだな」
父がやたらと嬉しそうなことを訝しみながら。
いったい…蓮の秘書室にアシスタントが入ることの何がそんなに嬉しいのだろうか。
そしてそんな話をするためにわざわざ呼び出した?
業務の話なら昼間顔を合わせた時に言えばいいようなものなのに…いやそもそも蓮の秘書室の人事をわざわざ社長である父が蓮に直接伝える必要があるのだろうか。
いろいろな疑問が頭に浮かび、蓮は父を正面からじっと見た。