お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「…どうかした?」
尋ねられて、真帆は自分がまじまじと彼を見ていたことに気がつく。
慌てて目を逸らした。
「い、いえ…。スーツじゃない副社長が…なんだか、新鮮だなと思いました」
蓮が微笑む。
「それは俺もだ。そんなに可愛らしい格好だとは思わなかった。慣れてないなんて言葉、信じられないな」
「なっ…」
さらりととんでもないことを言われて、真帆は言葉に詰まってしまう。
あたりまえだけれど恋人同士になっても業務時間中は上司と部下で、蓮は仕事には手を抜かない。真帆が作る資料にも容赦なくダメ出しが入るのも珍しくはない。それを嫌だなどとは思わないが、その彼と同じ口から出たとは思えないほど甘い言葉だった。
「だが…副社長はないだろう」
そう言って蓮は眉を寄せる。そしてちょうど信号待ちになったのをいいことにじろりと真帆を睨んだ。
「名前で呼べ」
確かに、どこへ行くかはわからないけれど二人でいるのに真帆が"副社長"なんて呼んでいたら、周りに変に思われるかもしれない。
真帆は逡巡しながら口を開いた。
尋ねられて、真帆は自分がまじまじと彼を見ていたことに気がつく。
慌てて目を逸らした。
「い、いえ…。スーツじゃない副社長が…なんだか、新鮮だなと思いました」
蓮が微笑む。
「それは俺もだ。そんなに可愛らしい格好だとは思わなかった。慣れてないなんて言葉、信じられないな」
「なっ…」
さらりととんでもないことを言われて、真帆は言葉に詰まってしまう。
あたりまえだけれど恋人同士になっても業務時間中は上司と部下で、蓮は仕事には手を抜かない。真帆が作る資料にも容赦なくダメ出しが入るのも珍しくはない。それを嫌だなどとは思わないが、その彼と同じ口から出たとは思えないほど甘い言葉だった。
「だが…副社長はないだろう」
そう言って蓮は眉を寄せる。そしてちょうど信号待ちになったのをいいことにじろりと真帆を睨んだ。
「名前で呼べ」
確かに、どこへ行くかはわからないけれど二人でいるのに真帆が"副社長"なんて呼んでいたら、周りに変に思われるかもしれない。
真帆は逡巡しながら口を開いた。