お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「と、藤堂さん…?」

 蓮が吹き出した。
 そして信号が青になって車を発進させても、くっくと笑い続けている。

「名字じゃない。下の名前だ」

「え!」

 真帆はびっくりして固まってしまう。

「え、じゃない。当たり前だろう?彼氏をそんなふうに呼ぶやつがあるか」

 蓮は笑いを噛み殺しながら言う。

「そ、そりゃあ、普通の恋人同士ならそうかもしれません。でも私たちは…」

 そこまで言って、またじろりと睨まれてしまい真帆は口をつぐむ。

「い、いえ何もありません…」
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