お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「…アレが俺か」
紫色に光りながら目の前をふわふわと漂うクラゲを見つめて、蓮が情けないように言う。真帆はふふふと笑った。
「…まぁでも、そう言われても仕方がないな。本当に初めの頃の俺は酷かった」
「すごく怖くてなるべく関わらないでおこうって思っていました。総務課で蓮さんが副社長として社員から慕われてるって聞いても全然信じられなくて…ふふふ」
それでもいつのまにか蓮は真帆の心に入り込み、真帆が仕事を頑張りたいと思う原動力になっていた。
蓮が"本当にごめん"と耳元で囁く。真帆は首をふった。
「でもなぜか嫌いだとは思いませんでした。むしろなんだかその逆で…だから余計に寂しくて…なら、しっかり仕事をすればいいんじゃないかって思ったんです。…ちゃんと仕事ができるようになれば蓮さんに認めてもらえるんじゃないかって、それで私…きゃっ」
突然、蓮の腕の中で真帆はくるりと回されてぎゅっと力強く抱きしめられる。驚いて一瞬目を見開いた真帆だけれど、自分を包み込む蓮の暖かさが心地よくてゆっくりと目を閉じた。
「…まさかこんな風になるとは思わなかったですけど、でも付き合うってなってからも私どこか実感がなかったんです。やっぱりどこかで私と蓮さんはこの水槽の中と外みたいに住む世界が違うって思っていました。私は小鳥遊家とは縁が薄い普通の家庭の人間ですから…でも」
紫色に光りながら目の前をふわふわと漂うクラゲを見つめて、蓮が情けないように言う。真帆はふふふと笑った。
「…まぁでも、そう言われても仕方がないな。本当に初めの頃の俺は酷かった」
「すごく怖くてなるべく関わらないでおこうって思っていました。総務課で蓮さんが副社長として社員から慕われてるって聞いても全然信じられなくて…ふふふ」
それでもいつのまにか蓮は真帆の心に入り込み、真帆が仕事を頑張りたいと思う原動力になっていた。
蓮が"本当にごめん"と耳元で囁く。真帆は首をふった。
「でもなぜか嫌いだとは思いませんでした。むしろなんだかその逆で…だから余計に寂しくて…なら、しっかり仕事をすればいいんじゃないかって思ったんです。…ちゃんと仕事ができるようになれば蓮さんに認めてもらえるんじゃないかって、それで私…きゃっ」
突然、蓮の腕の中で真帆はくるりと回されてぎゅっと力強く抱きしめられる。驚いて一瞬目を見開いた真帆だけれど、自分を包み込む蓮の暖かさが心地よくてゆっくりと目を閉じた。
「…まさかこんな風になるとは思わなかったですけど、でも付き合うってなってからも私どこか実感がなかったんです。やっぱりどこかで私と蓮さんはこの水槽の中と外みたいに住む世界が違うって思っていました。私は小鳥遊家とは縁が薄い普通の家庭の人間ですから…でも」