お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
和正はワンマンな社長ではない。とくに最近では将来的に社長の座を蓮に譲ることを念頭においているはずの彼が、このように意見を押し付けるのは非常に珍しいことだった。
しかも、またニヤニヤとしている。
蓮は眉をよせてウイスキーのグラスをテーブルに置いた。
「女性?女性なんですか?」
「そうだ。お前まさか女性は嫌だとか、セクハラじみたことを言うつもりはないだろうな?」
「そういうつもりはありませんが…」
そこまで言って蓮は考えこんだ。蓮の秘書室は他の役員の秘書室とは違い、男ばかりだ。
これには訳がある。
副社長に就任したばかりの頃の蓮の秘書室にも女性社員はいた。
一条は初めから蓮についているから、一条のアシスタントが全て女性だったという形だ。
彼女たちは皆仕事ができるということで抜擢されたはずが、数ヶ月で皆異動をすることになった。
原因は蓮を巡ってのいがみ合いである。
もちろん蓮は誰一人として手を出してはいない。けれどあとで一条から聞いたところによると、コーヒーを入れてもらった折にありがとうと蓮が微笑めば、"私が一番お気に入り"だとなり、重いものを代わりに持ってやれば"誘われている"ということになるのだという。
蓮の預かり知らぬところでいつのまにか秘書室は修復不可能になっていた。一人また一人と去ってゆき、結局半年後には蓮の秘書室に女性は居なくなってしまった。
この出来事は、ちょっとした事件としてゴシップ好きの社員の間で語り継がれている。
しかも、またニヤニヤとしている。
蓮は眉をよせてウイスキーのグラスをテーブルに置いた。
「女性?女性なんですか?」
「そうだ。お前まさか女性は嫌だとか、セクハラじみたことを言うつもりはないだろうな?」
「そういうつもりはありませんが…」
そこまで言って蓮は考えこんだ。蓮の秘書室は他の役員の秘書室とは違い、男ばかりだ。
これには訳がある。
副社長に就任したばかりの頃の蓮の秘書室にも女性社員はいた。
一条は初めから蓮についているから、一条のアシスタントが全て女性だったという形だ。
彼女たちは皆仕事ができるということで抜擢されたはずが、数ヶ月で皆異動をすることになった。
原因は蓮を巡ってのいがみ合いである。
もちろん蓮は誰一人として手を出してはいない。けれどあとで一条から聞いたところによると、コーヒーを入れてもらった折にありがとうと蓮が微笑めば、"私が一番お気に入り"だとなり、重いものを代わりに持ってやれば"誘われている"ということになるのだという。
蓮の預かり知らぬところでいつのまにか秘書室は修復不可能になっていた。一人また一人と去ってゆき、結局半年後には蓮の秘書室に女性は居なくなってしまった。
この出来事は、ちょっとした事件としてゴシップ好きの社員の間で語り継がれている。