お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 噂になること自体は面白くはないが、今はスムーズに業務をこなせるのだから蓮としてはこのままでまったく構わない。それなのに、なぜ今になってわざわざ女性を入れるのかと疑問に思う。
 それに父親のニヤニヤも不可解で不快だった。

「…父さん、何か良からぬことを考えているんでしょう」

 蓮はあえて和正を父さんと呼び追求した。父の表情がどう考えても業務の話をするときのそれではないからだ。今日の話は見合い話ではなかったと胸を撫で下ろしていたが、これはまさか…

「いや良からぬことではない、蓮。良いことだ。お前のために爺さんが良い子を探してきてくれた。なんとあの小鳥遊グループの…」

「父さん!!」

 たまらずに蓮は右手でテーブルを叩いた。つまりは秘書室に入るアシスタントとは父が見繕ってきた蓮の嫁候補ということだ。
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