お見合い夫婦の結婚事情～カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています～

「ははは、ワシの読みは当たった！絶対にデートだと思ったぞ！いや、お前が土日の両方を休むなんて副社長になってからは初めてだから、ワシじゃなくてもわかるかも知らんがな。まったく、わかりやすいやつだ」

　カラカラと笑い続ける和正を蓮は胡散臭そうに睨む。

「…デートだとわかっているなら、こんな朝から来ないで下さい。…それこそ野暮でしょう」

「なに、そんなに朝早くでもないだろう。もうワシは日課のウォーキングも済ませた」

「…朝の早い、年寄りと一緒にしないで下さい」

ぽんぽんと言葉のやり取りをする二人を見て、真帆は思わずくすくすと笑ってしまう。
　社内の人望厚く、いつもどこか余裕たっぷりの蓮だけれど父親と言い合いをしている姿は、まるで少年のようで微笑ましい。
　そんな真帆をじっと見て和正は、目を細めた。そして信じられないことを言った。

「君は本当に小夜子さんに似ているな。可愛らしい。…蓮が夢中になるのも当然だな」

「…え？」

真帆は言われた言葉がすぐには理解できずに固まってしまう。そんな真帆と和正を蓮が怪訝な表情で見ている。

「は、母を…ご存じなんですか？」

真帆は戸惑いながら和正に問いかける。和正は穏やかに微笑んだまま頷いた。