お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「そうだ、お前が決めていいんだ。良い子だそうだぞ。先方には事情も話してある。わかった上で秘書室に来るのだ」

「…事情を話してあるなら尚更、早々にお辞めいただくことになるでしょう」

蓮は冷ややかに父を見下ろした。

「その方にお伝え下さい。私にはその気はない。恥をかきたくないのであれば私の秘書室になど来ぬようにと」

 そう言うと蓮はソファに放り投げてあったジャケットを乱暴に掴む。そして和正の返事を聞かずにさっさと部屋を後にした。
 してやられた、絶対に思い通りになどなるものかと思いながら。
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