お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「入江さんを泣かせたら、ダメですよ。何かあったら私たちが敵にまわりますからね!覚えていて下さい!」

 蓮は驚いたように一瞬止まってから、君もか…と口の中でつぶやいた。そしてニヤリと笑った。

「大丈夫、そんなことにならないから」

 蓮は力強く宣言する。
 そして、再びきゃー!と歓声があがる中、優しい眼差しを真帆に送った。
 皆の前で交際宣言なんてどういうつもりなのかと思ったけれど、もしかしたら彼は始めからこうなることがわかっていたのかもしれない。
 副社長という立場のある蓮との付き合いは、前途多難などと勝手に思っていたけれどそれだけでもないのかもしれないという考えが真帆の頭に浮かんだ。
 もちろん良く思わない人もいるだろうが、ゆかりをはじめ仲間もいる、大丈夫…。
 そんなことを思いながら微笑むと視線の先で蓮が小さく頷いた。
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