お見合い夫婦の結婚事情～カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています～

　真帆の胸がドキドキと鳴る。まるで告白をする前のようだ。そのくらい大それたことを言おうとしているという自覚はある。それでも伝えたかった。

「会社の未来を背負う蓮さんは、とても立派だけれどその分自分を犠牲にするでしょう？休むのだって仕事だっていうわ。…私が側にいることで蓮さんが休むことができるなら私は…私はそうやって蓮さんを支えたい。いつかじゃなくて今支えたい。…蓮さん、私と結婚してくれますか？」

　蓮はしばらく言葉を失って真帆を見つめていた。薄茶色の瞳が揺れた、次の瞬間バチャンと水音を立てて蓮が強い力で真帆を抱きしめた。そして熱い吐息で囁いた。

「あぁ、結婚しよう。真帆…愛してるよ」

　真帆の目に映る、蓮の肩ごしの夜景がみるみる滲んでゆく。真帆がいると綺麗な景色に気が付けると彼は言うけれど、真帆だって蓮と一緒に見る景色は普段の何倍も何百倍も美しい。