お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
義雄に彼の名刺を見せられたその時、真帆は即座にその話を断った。身の丈に合わないと。いくらなんでも茂木弁護士の事務所で秘書の真似事をしていただけの真帆に国内最大手である藤堂不動産リアリティの副社長の秘書が務まるはずもない。
義雄の顔に泥をぬるようなことはしたくなかった。
けれどすっかりその気になってしまった義雄は真帆の申し出に首を振った。そして真帆が何を言っても、大丈夫だからやってみろの一点張りだった。そのうちに示し合わせたように現れた美咲に、強制的に美容院に連れて行かれてしまった。
「おじいさまは初め、私に行かせようとしたのよ」
美咲は美容院で真帆の髪を切る美容師にあれやこれやと注文をつけながら、おっとりと眉を寄せた。
「結婚前の社会勉強だって。だから大丈夫よ。私より真帆の方が賢いじゃない」
たしかに、美咲の社会勉強をするための場所だと言われれば藤堂不動産リアリティは頷ける。深層の令嬢である彼女が働く場だというのであればそこら辺の会社では不都合だ。
けれどそれなら尚更、真帆には分不相応なのではないだろうか。一応は親戚だとはいっても真帆は普通の家庭の出身だ。
義雄の顔に泥をぬるようなことはしたくなかった。
けれどすっかりその気になってしまった義雄は真帆の申し出に首を振った。そして真帆が何を言っても、大丈夫だからやってみろの一点張りだった。そのうちに示し合わせたように現れた美咲に、強制的に美容院に連れて行かれてしまった。
「おじいさまは初め、私に行かせようとしたのよ」
美咲は美容院で真帆の髪を切る美容師にあれやこれやと注文をつけながら、おっとりと眉を寄せた。
「結婚前の社会勉強だって。だから大丈夫よ。私より真帆の方が賢いじゃない」
たしかに、美咲の社会勉強をするための場所だと言われれば藤堂不動産リアリティは頷ける。深層の令嬢である彼女が働く場だというのであればそこら辺の会社では不都合だ。
けれどそれなら尚更、真帆には分不相応なのではないだろうか。一応は親戚だとはいっても真帆は普通の家庭の出身だ。