お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 一条は軽く頷いてじっと真帆を見た。

「…ご紹介頂いた方は確か、小鳥遊会長ですね…失礼だけとご関係をお伺いしても?」

 一条の問いかけに真帆は頬を染めた。こんなに率直に縁故採用であることを尋ねられるとは思っていなかった。
 本来の実力で入社したわけではないことを指摘されているようで恥ずかしかった。履歴書もいらないと言われたのだから当然と言えば当然だが、それならなおさら小鳥遊の大叔父の直系の孫でないことがバレるとまずいのではないだろうかという思いが頭をよぎる。

「他意はないので誤解しないでほしいのですが、私には確かな筋からの紹介でアシスタントが入るという話があっただけで詳細は伝えられでいないのです。現場責任者として知っておいた方がいいと思っただけですので、口外はしません」

 初対面の人物だが、生真面目そうな一条は信用できるような気がして、真帆はお腹にグッと力を入れてから口を開いた。

「小鳥遊義雄は、私の大叔父にあたります。勤めていた法律事務所が閉鎖になったものですから、新しい就職先を紹介してもらえないかとお願いしたらこちらを紹介されたのです」

「星蘭大学を中退されたようですが…?」
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