お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「小鳥遊のおじさまだったら、良い話があるかなって思って相談してみたのよ。沢山会社を持ってらっしゃるから」

 父と一緒になってすぐの頃は実家と絶縁状態だった母も、祖父が他界した頃から少しずつ交流を再開させていった。
 どんなにお金に困っても、絶対に経済的には頼らないという母のプライドはあるものの、それ以外の面ではもはや普通の親戚と変わらないくらいの付き合いはある。

「ちょ、ちょっと、母さん。なんでそんな勝手なこと…」

 小鳥遊の大叔父だったら確かに真帆の就職を世話するくらいわけないだろう。だが大叔父の会社はどれも業界では大手ばかり。そんなところに畑違いの仕事をしていた自分が飛び込んでやっていけるとは到底思えなかった。
 母にはつてはないと言い切った真帆だが、本当のところ全くないわけではない。真帆の今のボスは今でこそ好々爺を気取っているが、かつては弁護士会の会長も務めていた人物で法曹界では知らない人はいない。
 真帆が頼めば次の就職先を紹介してくれるくらいわけないだろう。しかし真帆としては次の一歩は自分で踏み出したいと言う気持ちもありお願いはしていなかった。
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