お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
蓮は舌打ちしたいのを堪えて首を振った。
「必要ない」
「…ですが」
「親父の思惑通りの女なら俺には必要ないし、その気もない。そう伝えて帰ってもらってくれ」
そう言い捨てて蓮は再びパソコンの画面に戻ろうとする。けれど一条がそんな蓮に食い下がった。
「そういうわけにはまいりません。会社として採用した者ですので。私のアシスタントですからどう使うかは私が決めさせていただきます。とはいえ、副社長の秘書室ですから紹介もさせていただきます」
珍しく頑なに蓮の意見に反抗するそぶりを見せる一条を意外に思いながらも蓮はそれ以上拒否はしなかった。確かに正式に採用してしまった人間を初日にクビにするわけにはいかないだろう。
小鳥遊家の令嬢がまさか労働組合に駆け込むようなことはないだろうが、親に泣き付かれては厄介なことにならないとも限らない。
「…わかった。じゃあ、後で」
蓮はしぶしぶ頷いた。
会いたくないと駄々をこねるような真似をしてもいつかは顔を合わせることになるのだ。
二人きりの場でもしもお見合いうんぬんの話をしたならば直接自分の口から断りを入れてやろうと思った。
「じゃあ、今から呼んでくれ」
一条が頷いて薄く笑った。
「…案外、副社長が思われているような方ではないのかもしれませんよ」
「必要ない」
「…ですが」
「親父の思惑通りの女なら俺には必要ないし、その気もない。そう伝えて帰ってもらってくれ」
そう言い捨てて蓮は再びパソコンの画面に戻ろうとする。けれど一条がそんな蓮に食い下がった。
「そういうわけにはまいりません。会社として採用した者ですので。私のアシスタントですからどう使うかは私が決めさせていただきます。とはいえ、副社長の秘書室ですから紹介もさせていただきます」
珍しく頑なに蓮の意見に反抗するそぶりを見せる一条を意外に思いながらも蓮はそれ以上拒否はしなかった。確かに正式に採用してしまった人間を初日にクビにするわけにはいかないだろう。
小鳥遊家の令嬢がまさか労働組合に駆け込むようなことはないだろうが、親に泣き付かれては厄介なことにならないとも限らない。
「…わかった。じゃあ、後で」
蓮はしぶしぶ頷いた。
会いたくないと駄々をこねるような真似をしてもいつかは顔を合わせることになるのだ。
二人きりの場でもしもお見合いうんぬんの話をしたならば直接自分の口から断りを入れてやろうと思った。
「じゃあ、今から呼んでくれ」
一条が頷いて薄く笑った。
「…案外、副社長が思われているような方ではないのかもしれませんよ」