お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
1週間もすると秘書室内の物の場所も習慣も把握でき、徐々に自分の頭で考えて動けるようにもなってきた。
一方で副社長である藤堂蓮との距離は相変わらず天と地ほどもあるように思えた。
唯一朝のコーヒーの時だけが真帆と彼がまともに顔を合わせる時間だが、しかめっ面は相変わらずでいつも不機嫌そうに真帆を睨む。
初めの頃は自分に何か不満でもあるのかと訝しんだ真帆だったが、一条が言った通りじっと見るのは彼のくせなのだと思うようにしてやり過ごした。
実際、彼が真帆に何か小言を言うわけではないのだからそれでよかったのだろうと真帆は思う。
何しろ初日の謎かけのような言葉以来、彼が真帆に話しかけることもなかった。
副社長秘書室にいるはずが、肝心の副社長とは殆ど口を聞いたことがないという奇妙な状態が2週間ほど続いだある日、ついに蓮と真帆が言葉を交わす機会が訪れた。
「…なにをしている」
役員室が並ぶ長い廊下をエレベーターへ向かっていた真帆は声をかけられて振り返る。
廊下には真帆以外誰もいないのだからさっきの言葉が自分にかけられたことは明白なのに真帆はそのまま固まってしまって答えられないでいた。
声をかけたと思わしき人物が副社長である蓮だったからである。
一方で副社長である藤堂蓮との距離は相変わらず天と地ほどもあるように思えた。
唯一朝のコーヒーの時だけが真帆と彼がまともに顔を合わせる時間だが、しかめっ面は相変わらずでいつも不機嫌そうに真帆を睨む。
初めの頃は自分に何か不満でもあるのかと訝しんだ真帆だったが、一条が言った通りじっと見るのは彼のくせなのだと思うようにしてやり過ごした。
実際、彼が真帆に何か小言を言うわけではないのだからそれでよかったのだろうと真帆は思う。
何しろ初日の謎かけのような言葉以来、彼が真帆に話しかけることもなかった。
副社長秘書室にいるはずが、肝心の副社長とは殆ど口を聞いたことがないという奇妙な状態が2週間ほど続いだある日、ついに蓮と真帆が言葉を交わす機会が訪れた。
「…なにをしている」
役員室が並ぶ長い廊下をエレベーターへ向かっていた真帆は声をかけられて振り返る。
廊下には真帆以外誰もいないのだからさっきの言葉が自分にかけられたことは明白なのに真帆はそのまま固まってしまって答えられないでいた。
声をかけたと思わしき人物が副社長である蓮だったからである。