お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「え…?」
呟いたまま真帆は固まってしまう。
一瞬彼女が人違いをしているのではないかと思った。だってあの不機嫌がスーツを着て歩いているようなあの藤堂蓮が、女性に優しい?
「以前、秘書室にいたお姉さま方が騒いでたんです。目つきは鋭いし仕事には厳しい方だけど、業務を外れたときはさりげなく気配りしてくれてとても優しいんだって」
頷くことも首を振ることもできずに真帆は彼女の言葉に耳を傾ける。
「コーヒーを持って行ったらありがとうって微笑んで言ってくれるし、重い物は代わりに持ってくれたりするって自慢してました。まぁ、よく考えたら男性としても人としても当たり前の行動ですけどね。それができない重役が多いですからね~」
ゆかりは眉を寄せて首を振った。
「…ここだけの話、うちの課の課長も酷いんですよ」
真帆は部屋の一番奥に座る40絡みの男性に目をやりながら心の中ではまったく別のことを考えていた。
(コーヒーを入れたらありがとうって?…笑う?副社長が?さっきだってサンタクロースみたいにゴミを運んでた私を置いてさっさと行っちゃったあの副社長が…?)
「あぁ、私も副社長みたいな上司だったら毎日ご機嫌に働けるのになぁ」
うっとりと頬を染めるゆかりを見ながら、真帆の心の中にもやもやとしたものが広がってゆく。
彼女が人違いをしていないとしたらその噂と自分が見たものは、かけ離れすぎているように思った。
呟いたまま真帆は固まってしまう。
一瞬彼女が人違いをしているのではないかと思った。だってあの不機嫌がスーツを着て歩いているようなあの藤堂蓮が、女性に優しい?
「以前、秘書室にいたお姉さま方が騒いでたんです。目つきは鋭いし仕事には厳しい方だけど、業務を外れたときはさりげなく気配りしてくれてとても優しいんだって」
頷くことも首を振ることもできずに真帆は彼女の言葉に耳を傾ける。
「コーヒーを持って行ったらありがとうって微笑んで言ってくれるし、重い物は代わりに持ってくれたりするって自慢してました。まぁ、よく考えたら男性としても人としても当たり前の行動ですけどね。それができない重役が多いですからね~」
ゆかりは眉を寄せて首を振った。
「…ここだけの話、うちの課の課長も酷いんですよ」
真帆は部屋の一番奥に座る40絡みの男性に目をやりながら心の中ではまったく別のことを考えていた。
(コーヒーを入れたらありがとうって?…笑う?副社長が?さっきだってサンタクロースみたいにゴミを運んでた私を置いてさっさと行っちゃったあの副社長が…?)
「あぁ、私も副社長みたいな上司だったら毎日ご機嫌に働けるのになぁ」
うっとりと頬を染めるゆかりを見ながら、真帆の心の中にもやもやとしたものが広がってゆく。
彼女が人違いをしていないとしたらその噂と自分が見たものは、かけ離れすぎているように思った。