お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
入社以来、彼の朝のコーヒーは必ず真帆が入れているというのに"ありがとう"と言われた記憶は一度もない。
ましてや笑いかけてもらったことも。
「副社長って意外と人見知りされるタイプなんでしょうか」
無意識に真帆は呟いていた。
だってそうじゃないととてもじゃないけれど納得がいかなかった。
真帆はまだ入社したてだから、彼に冷たくされているのだと。
しかし真帆の言葉を拾ってゆかりは首を振った。
「まさか!副社長は、欧州で生活されていた経験がおありでとても社交的な方だそうですよ。その交友関係を活かした事業展開もうちの会社では沢山あるくらいですから。…入江さん?」
自然と苦々しい顔になってしまっているのだと気がついて真帆は無理矢理笑顔を作った。
「そうなんですね。私、まだ日が浅いから副社長とは殆どお話する機会もなくてよくわかりません」
言いながら口の中に苦いものが広がってゆくような気がした。真帆を無用に睨むのも言葉をかけないのも全て彼自身がもともとそういう人なのだと思っていたからこそ気にならなかったのだ。
これがもし、真帆にだけ冷たいのだとしたら…。
(まさか…だって私、副社長とは会ったばかりじゃない。…疎ましがられる理由なんてないはずだわ…)
ましてや笑いかけてもらったことも。
「副社長って意外と人見知りされるタイプなんでしょうか」
無意識に真帆は呟いていた。
だってそうじゃないととてもじゃないけれど納得がいかなかった。
真帆はまだ入社したてだから、彼に冷たくされているのだと。
しかし真帆の言葉を拾ってゆかりは首を振った。
「まさか!副社長は、欧州で生活されていた経験がおありでとても社交的な方だそうですよ。その交友関係を活かした事業展開もうちの会社では沢山あるくらいですから。…入江さん?」
自然と苦々しい顔になってしまっているのだと気がついて真帆は無理矢理笑顔を作った。
「そうなんですね。私、まだ日が浅いから副社長とは殆どお話する機会もなくてよくわかりません」
言いながら口の中に苦いものが広がってゆくような気がした。真帆を無用に睨むのも言葉をかけないのも全て彼自身がもともとそういう人なのだと思っていたからこそ気にならなかったのだ。
これがもし、真帆にだけ冷たいのだとしたら…。
(まさか…だって私、副社長とは会ったばかりじゃない。…疎ましがられる理由なんてないはずだわ…)