お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
紺色のシンプルなスーツに包まれた小柄でほっそりとした身体。頬の下あたりで清楚に切り揃えられた柔らかそうな黒い髪。
くりくりとした大きな瞳は緊張からか少し潤んでいた。
"入江真帆です"
と言った少し高い声は、その日の晴天の空のように清々しいと思った。
およそ蓮が想像していた"小鳥遊グループの令嬢"の全てから、彼女はかけ離れていたのだ。しかも、簡素な自己紹介が終わると、さっさと背を向けて出て行こうとする始末だった。
父の話では、この話は蓮だけでなく相手も知っている筈だということだった。そういう共通の認識があるならば、もう少し何か言っても良さそうなものなのにという思いで呼び止めたというのに、彼女はまったくトンチンカンな答えを口にした。
けれど後から考えてみれば、一体自分は彼女からどのような言葉が出れば満足だったのだろう。
くりくりとした大きな瞳は緊張からか少し潤んでいた。
"入江真帆です"
と言った少し高い声は、その日の晴天の空のように清々しいと思った。
およそ蓮が想像していた"小鳥遊グループの令嬢"の全てから、彼女はかけ離れていたのだ。しかも、簡素な自己紹介が終わると、さっさと背を向けて出て行こうとする始末だった。
父の話では、この話は蓮だけでなく相手も知っている筈だということだった。そういう共通の認識があるならば、もう少し何か言っても良さそうなものなのにという思いで呼び止めたというのに、彼女はまったくトンチンカンな答えを口にした。
けれど後から考えてみれば、一体自分は彼女からどのような言葉が出れば満足だったのだろう。