お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「…一条」
「はい」
「あの、新しいアシスタントだが…」
「入江さんですよ、副社長。もう2週間も経つのですから名前でお呼び下さい。普段から社員を大切にされている貴方らしくもない」
ぴしゃりという一条が憎らしくて、蓮は唇を歪める。
「入江…さんは、本当に小鳥遊会長のところのお嬢さんなのか。…それにしては苗字が違うが」
蓮は、今更だと内心で自嘲しながら尋ねる。
心のどこかで"小鳥遊家とは関係のない方で手違いで入社されたようです"というありえない回答を望んでいる自分がいる。
そうであれば他の社員と同じように接することができるのだ。あの重そうなシュレッダーゴミも持ってやれる。
けれど一条はシルバーの眼鏡を手で押さえて頷いた。
「間違いなく小鳥遊家のお嬢様です。1日目の面談の際に不躾かと思いましたがご本人に確認させていただきました。苗字が違うのは母方が小鳥遊家にあたるからだそうですよ」
「はい」
「あの、新しいアシスタントだが…」
「入江さんですよ、副社長。もう2週間も経つのですから名前でお呼び下さい。普段から社員を大切にされている貴方らしくもない」
ぴしゃりという一条が憎らしくて、蓮は唇を歪める。
「入江…さんは、本当に小鳥遊会長のところのお嬢さんなのか。…それにしては苗字が違うが」
蓮は、今更だと内心で自嘲しながら尋ねる。
心のどこかで"小鳥遊家とは関係のない方で手違いで入社されたようです"というありえない回答を望んでいる自分がいる。
そうであれば他の社員と同じように接することができるのだ。あの重そうなシュレッダーゴミも持ってやれる。
けれど一条はシルバーの眼鏡を手で押さえて頷いた。
「間違いなく小鳥遊家のお嬢様です。1日目の面談の際に不躾かと思いましたがご本人に確認させていただきました。苗字が違うのは母方が小鳥遊家にあたるからだそうですよ」