お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
真帆は手元にある水色のファイルをめくりあることを確認すると立ち上がった。
何も準備はいらないと言った蓮だけれど、大貫ほどの人物を迎えるのであればお茶だけというわけにはいかない。
慌てて給湯室に向かうと、大貫が好きな老舗の和菓子メーカーの茶菓子の買い置きがあることを確認した。
そして胸を撫で下ろして席に戻ってみると真帆の机の上に置きっぱなしになっていた水色のファイルを蓮がめくっていた。
「ふ、副社長…!」
慌てて真帆はそれを取り戻そうと手を伸ばす。
けれど180センチ以上ある蓮にひょいと避けられてしまう。
「これは君の…顧客リストか?」
真帆が届かないところでぺらぺらと中身を見ながら蓮は真帆に問いかける。
「そうです…か、返して下さい」
顧客リストといっても私的なもので社内の重役、社外の顧客の飲み物や茶菓子の好み、その時交わしたちょっとした会話などを真帆が自分で見るためだけにまとめたものである。
人に見せるようなものではない。
「ふうん。石川常務が最近腰を痛めたことまで書いてあるじゃないか。一条、知ってたか」
一条がいえ、と首を振った。
何も準備はいらないと言った蓮だけれど、大貫ほどの人物を迎えるのであればお茶だけというわけにはいかない。
慌てて給湯室に向かうと、大貫が好きな老舗の和菓子メーカーの茶菓子の買い置きがあることを確認した。
そして胸を撫で下ろして席に戻ってみると真帆の机の上に置きっぱなしになっていた水色のファイルを蓮がめくっていた。
「ふ、副社長…!」
慌てて真帆はそれを取り戻そうと手を伸ばす。
けれど180センチ以上ある蓮にひょいと避けられてしまう。
「これは君の…顧客リストか?」
真帆が届かないところでぺらぺらと中身を見ながら蓮は真帆に問いかける。
「そうです…か、返して下さい」
顧客リストといっても私的なもので社内の重役、社外の顧客の飲み物や茶菓子の好み、その時交わしたちょっとした会話などを真帆が自分で見るためだけにまとめたものである。
人に見せるようなものではない。
「ふうん。石川常務が最近腰を痛めたことまで書いてあるじゃないか。一条、知ってたか」
一条がいえ、と首を振った。