世界No.1の総長と一輪の花 両想いバレンタイン(詩優side)
「…起きた」
こっちを向いて欲しくて…そっぽを向いた花莉の手を握る。
彼女の反対側の手には紙袋が握られていて。それがなんなのか期待せずにはいられない。
少し顔を赤くして、俺と目を合わせてくれる花莉。
俺から握った手に少しだけ力がこめられた。
それから彼女は一呼吸して。
「あ、あのね……これ、詩優に渡したくて作ったの」
差し出されたのは彼女が反対の手に持っていた紙袋。
その手は小刻みに震えていて、耐えられなくなったのか花莉は俺から目を逸らす。
…これは…本命チョコ、だと思っていいんだよな……?
間違ってないよな……?
初恋の女の子、初めてできた彼女からの……
期待は高まるばかり。
花莉の手を強く握ってから、
「…これ、本命チョコだと思っていい?」
と聞いてみる。
…間違っていたら嫌だから。
いや、でも本命チョコじゃないって言われたら……
なんて不安に思った時、目の前の彼女は俺と目を合わせないままこくんと頷いた。