アラサー女子は甘い言葉に騙されたい
待ちに待った、1週間後。
梅雨に入ったこの日はあいにくの雨だったけれど、吹雪の心は晴れやかだった。
初めて彼とデートをした時と同じぐらいに緊張している。けれど、何故だか不安などなかった。
お別れの日になるかもしれない。そうだとしても、今日はしっかり話しをすれば、彼の気持ちがわかる。フラれてしまったらば、きっと泣いてしまうだろう。
けれど、彼を好きになった事は後悔はしないだろう。そう思えた。
彼が自分に声を掛けた理由を知りたい。それを知れば、周を嫌いになる事はないだろう。吹雪はそう強く思えた。
吹雪はおしゃれをして彼に会いに行こうと思っていたけれど、普段通りのメイクと髪型にした。いつもの自分て周に会いたいと思ったのだ。
予定より早く出発の時間だったが、吹雪は家を出た。少し雨足が強かったけれど、街に溢れる雑踏を雨音が消してくれる。吹雪は雨音を楽しみながら少し離れた隣町を目指した。
電車を乗り継ぎ着いた街は、吹雪が住んでいる街より静かな雰囲気の街だった。ほどよく栄えている街だった。住みやすそうなゆったりとした町並みを吹雪はスマホで地図を見ながら歩いた。駅からも歩くようで、吹雪は迷子にならないように注意して、確認しながら目的地を目指した。