アラサー女子は甘い言葉に騙されたい
エピローグ
エピローグ
周と付き合い始めてから1ヶ月が過ぎた。
周はホストのバイトを辞めた。
そもそも、ホストのバイトは吹雪の家に酔っぱらったまま訪れた時のみだったらしく、その時が体験入店だったようだ。吹雪に開催したギャラリーを見に来て欲しいという夢も叶ったので、続ける意味はないと周は話していた。それにホストを続けるとなると、吹雪も不安になってしまうので、それには賛成だった。
この日は、吹雪の家に周が訪れる予定になっていた。
周は学生だったけれど、自分の作った食器などを店に委託したり、教授の工房で販売していた。そのため全く収入がないわけでもなかったが、それでも家賃や学費を払えないと、陶芸教室のバイトや居酒屋バイトもしていたようだった。そのため、なかなか合う時間が取れなかったけれど、あ互いに時間を見つけては会うようにしていた。
会いたいからこそ、時間を作る。そう言った方がいいのかもしれない。
ピンポーンッ、と呼び鈴がなり、吹雪は慌てて玄関に向かった。
「こんばんは、吹雪さん」
「お疲れ様、周くん。どうぞ、いらっしゃい」
「お邪魔します………というか、ただいま、かな?」
「ふふふ。おかえりなさい」
周の返事に合わせて言葉を帰すと、周は嬉しそうに笑ってくれていた。
「夕御飯出来てるけど……まかない食べてきた?」
「少し………でも、吹雪さんのご飯食べたいな」
「じゃあ、少しずつ準備するね」
「ありがとー」