アラサー女子は甘い言葉に騙されたい
「本当にごめんっ!!」
出会って開口一番に彼女は頭を下げながら、謝った。目の前の彼女は、切原麗(きりはられい)。吹雪の高校からの友達だった。金色のボブの髪がよく似合う、サバサバとした女の子で、吹雪とは性格は似ていないが、2人はとても仲が良かった。
「大丈夫、気にしないで。それに、麗ちゃんが謝る事じゃないよ?」
「ちゃんと調べなかった私の落ち度があるよ。まさか、あの人が婚約してるなんて……ってか、何で婚約者いるのに2人きりの食事に行けるのかな………信じられない」
「本当に気にしないで。しっかり断ったから」
麗を安心させるために吹雪は微笑みながらそう返事をした。
けれど、麗は納得がいかないようで苦い顔をした。
「………その顔は、何もなかったわけではないみたいだね」
「え………そんな事は………」
「嘘ついたら、私怒るからね………」
「麗ちゃん………」
「さっ、まずはお詫びにケーキセット奢るからカフェ行こう!おすすめのお店見つけたんだ。そこで話を聞くわっ!」