アラサー女子は甘い言葉に騙されたい
「ねぇ、周くん。ホストではどうなの?こうやって練習した事、役に立ってるかな?」
「え………」
周のホストの仕事について、吹雪はあまり聞いたことがなかった。2人で街を歩きながら、つい気になってしまったので、彼に聞いてみる。すると、周は何故か戸惑ったような顔をしたので、吹雪は慌てて彼に声をかけた。
「ホストって難しいんだよね。そんなにすぐに結果に現れるわけじゃないと思うから………まだまだこれからだよ!」
「吹雪さん………ごめんなさい」
「そんな、謝らないで」
「ううん………本当にごめん」
今までで1番悲しげな表情に、吹雪はどうしていいのかわからなくなる。
ホストの世界は難しい事が多いのだろう。女とは何もかも違う、男の世界なのだ。
けれど、こんなに頑張っている周が結果を出せないのだ。ホストという職業は過酷なのだな、と吹雪は改めて思った。
周にどんな言葉をかければいいのかわからずにおろおろとしていると、周が繋いでいた手を優しく引っ張った。
「ね、吹雪さん。ゲームセンター行こう?」
「え?」
「悲しい気持ちになった時は、遊んだ方がいいから………付き合ってくれる?」
「周くん………うん。いいよ」
「やった!行こう!」