アラサー女子は甘い言葉に騙されたい



 いつもより弱々しい微笑み。周の悩んで、苦しげな顔を見ているのは吹雪も辛い。そんな表情が少しでも晴れるのならば。そう思って、頷くと、周はとても嬉しそうに微笑み「早く早くっ!」と吹雪の腕を引っ張って小走りでゲームセンターに向かった。
 子どものようにはしゃぐ彼を見て、吹雪はホッとしながらも、彼を笑顔に出来た事が吹雪には嬉しかった。彼の役に立っているのだと感じられたのが、幸せに思えたのだった。



 「あ、このクレーンゲームのぬいぐるみ!ゲームのキャラクターだ。可愛いなー」
 「クレーンゲームかー……学生の頃以来やってないな」


 ゲームセンターの中に入ると、音楽やジャラジャラとコインが落ちる音、ゲームの音声など賑やかな雰囲気だった。吹雪は久しぶりの雰囲気を感じながら、キョロキョロと辺りを見渡しながら周の後についていった。すると、彼はクレーンゲームの前で足を止めた。どうやら、欲しいものがあったようだ。


 「吹雪さん、ゲームとかしないの?」
 「最近は全くしないかな。周くんは好きなんだね。このぬいぐるみとか、どうやってとるの?」
 「えっとねー………よし、じゃあやってみようか!」


 そう言うと、周は自分の財布からお金を出して数枚のお金を入れる。
 そして、吹雪を見て「やってみてください!」と操作ボタンの前に吹雪を誘った。けれど、吹雪はどうやって操作をするのかもわからず、周に助けを求めた。


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