アラサー女子は甘い言葉に騙されたい
11話「甘え上手」
11話「甘え上手」
ゲームセンターからの帰り道。
周はすっかり元気になっていた。吹雪が取ったぬいぐるみを持って、ウキウキと歩いている。このゲームはどんなゲームなのか、このキャラクターはどんなキャラなのか。楽しそうに話していた。
「吹雪さんもやってみよう?俺がやり方教えるから」
「んー………そうだね。でも、ゲームなんてほとんどやった事ないから出来るかなぁ」
「楽しいから、やりましょー?一緒にやりたいなー」
「………じゃあ、やり方教えてね」
「もちろん!やったー」
彼の甘える顔には弱い吹雪は彼のお願いをついつい聞いてあげる。けれど、周のお願いはいつも些細な事だ。そんな事で彼が喜んでくれるなら、笑顔を自分に見せてくれるなら、と吹雪は思ってしまう。
繋いだ手をブンブンッと揺らし、嬉しそうに歩く周を見て、吹雪も自然と笑顔になる。
周はまだホストでいい結果が残せていないのかもしれない。だから、吹雪が聞いてしまった時に言いにくそうにしていたのだろう。吹雪はそう感じたので、しばらくは彼にホストの仕事については聞くのを止めようと思った。
きっといい結果が出たら、教えてくれるはずなので、周が話してくれるまで待とうと決めた。