アラサー女子は甘い言葉に騙されたい




 「吹雪って俺の事好きなの?」
 「………え………」


 突然の言葉に吹雪は固まってしまった。
 自分の気持ちがいつ彼にバレてしまったのか。ちょっとした彼の言葉に喜んで頬を染めていた事か、それとも授業中や部活中に彼の横顔や背中を眺めていたのに気づかれてしまったのか。
 焦り、どう返事をすればいいのかわからずに、あたふたとしていると、星はそれを見て笑った。


 「それじゃあ、肯定してるってわかるな。別に責めてるわけでも、からかってるわけでもない」
 「……………」
 「俺も吹雪の事いいなって思ってたし。付き合ってみる?」
 「…………え?」


 彼の言葉に驚き、恥ずかしさを感じて目を潤めていた瞳のまま星の顔を見つめた。
 すると、そこには優しく笑う彼の表情があり、吹雪はドキンッと胸が鳴った。


 「付き合ってくれるの?吹雪?」
 「え、あ………うん。よろしくお願いします?」
 「何で、疑問系なんだよ」
 「だって………告白って、こんな軽い感じなのかなって思って」
 「幼馴染みからの恋なんて、そんなもんだろ」


 そう言って、吹雪の頭を撫でながら微笑んだ。


 「まぁ………なんだ、幼馴染みから恋人になっても、よろしくな?」
 「うん………」


 彼の頬と耳が赤い。
 いつもとは違うはにかんだ表情を見て、目の前の星が恋人になったのだと吹雪は実感出来たのだった。




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