アラサー女子は甘い言葉に騙されたい
「………ん…………、周くん………?」
「あ、あの………おはようございます」
寝室のドアから慌てた様子の周が現れた。
髪はボサボサでシャツは皺になり、ネクタイは寝ているときにはずしてしまったのか、胸元がはだけていた。子どものような姿に吹雪は思わず微笑んでしまう。
「おはよう。二日酔いは大丈夫?」
吹雪は目を擦りながらソファから体を起こす。すると、周は「本当にごめんなさい!………昨日はかなり酔っていて。………ご迷惑おかけしました!」と、勢いよく頭を下げたのだ。彼はかなり焦っているようで、動揺した様子だった。
吹雪は彼を安心させるように、クスクスと微笑んだ。
「大丈夫よ。少し驚いたけど、ここまで無事に来れてよかったわね。道で寝てたら困るもの」
「………ベットまでお借りしてしまって……」
「いいのよ。このベットで本を読みながら寝落ちしちゃう事もあるしね」
「………本当にすみませんでした」
何度も謝る周に、吹雪は微笑みかけながら、「気にしなくていいのに」と声を掛けた。そして、ソファから立ち上がり、体を伸ばした。