メーティスの出会い
「も、申し訳ありませんでした……」

その冷ややかな目が恐ろしく、透は言い訳せずに謝った。それでも玲奈の口からは罵詈雑言は止まない。

透のライフが残り一を切った時、「お〜い!」と村田刑事が走ってくる。透の目に村田刑事は救世主のようにも、神様のようにも見えた。

「村田刑事、どうされましたか?」

透が村田刑事に駆け寄ると、村田刑事は手帳を広げて言った。

「この通りにある魚屋全てに話を聞いて回ったんだが、全部に共通している入手ルートがあったよ」

「村橋さん、でしょ?」

玲奈の目から怒りは消え、冷静な表情に戻っている。透と美咲は同時にホッと息を吐いた。

「とりあえず、村橋さんに話を聞きに行こう。住所を教えてもらった」

透たちは村田さんの後をついていく。ふわりと嗅ぎれない潮風の匂いが鼻腔を満たした。



村橋の自宅は、海沿いにポツンと寂しく建っていた。家のすぐそばに養殖をしているスペースや船が置かれている。

呼び鈴を村田刑事が押すと、すぐに「はい」と三十代ほどの男性が姿を見せた。
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