メーティスの出会い

「これは、病院の院長先生のロッカーを映したものです。院長先生はとある薬を飲んでいました。それは、精神安定剤です。院長先生はあまりの忙しさに情緒不安定になることが多くなったと看護師たちが言っていたそうです。そんな彼に、この犯行はできない」

「あんたたちは最初からグレーだったけど、たった今黒になったよ。さて、なぜこんなことをしたのか説明してもらおうかしら？」

透と玲奈の言葉に、村橋の母親は狂ったように笑う。しばらく笑い続けた後、話し始めた。

「私の息子ね、この街のある女と結婚する約束をしてたの。でも、その女は息子を裏切って別の男を選んだ。街の人間は、みんなその女を祝福して……。この街の人間が許せなかったのよ！！」

「だからって、何も関係ない子どもまで巻き込むのはおかしい！！」

透がそう叫ぶと、「黙れ！！私も息子も悪くない！！」と狂ったように村橋の母親は叫ぶ。

玲奈は顔色を変えることなく、村田刑事に電話をかけ始めた。