恋に負けるとき
ガシ。
田所さんの腕を握っている
早田先輩の腕に手をかけた。
「何やってんすか。」
「あ?
なんだお前」
すごむ早田先輩。
目前に鋭い瞳。
ちっくしょう。
何だこの腕。ごつい。
俺の太ももくらいあるじゃん。
しょうがねえ。
いさぎよく、ボコられるしかない。
さえぎるように、
田所さんの前に立つ、
「離せよ」
内心を隠して
表情は変えずに渋谷が言う。
早田先輩は、すごんだ顔のまま
田所さんに視線をやり
また俺を見た。
早田先輩の腕が振られる。
殴られる!