恋に負けるとき



ガシ。




田所さんの腕を握っている




早田先輩の腕に手をかけた。




「何やってんすか。」




「あ?



なんだお前」




すごむ早田先輩。




目前に鋭い瞳。



ちっくしょう。



何だこの腕。ごつい。




俺の太ももくらいあるじゃん。




しょうがねえ。




いさぎよく、ボコられるしかない。



さえぎるように、




田所さんの前に立つ、



「離せよ」




内心を隠して



表情は変えずに渋谷が言う。



早田先輩は、すごんだ顔のまま




田所さんに視線をやり



また俺を見た。




早田先輩の腕が振られる。



殴られる!


< 25 / 71 >

この作品をシェア

pagetop