恋に負けるとき
「はあー。」
思わず、大きく息を吐いた。
助かった。
なんだよ。
お礼かよ。
また、何か親切したんだな。田所さん。
「渋谷くん?大丈夫?」
「マジびびったんですけど」
かっこ悪いことに、足がふるえていて
しゃがみ込んでしまう。
だって、マジびびったよ。
死亡フラグ見えたし。
田所さんが一緒にしゃがみ込んで
「…渋谷くん。」
おれに視線をあわせて
頬を赤くして、微笑んだ。
「助けようとしてくれたんだね。」
「ありがとう」
心臓わしづかみ。
その笑顔だけで
おれはこんなに
胸が熱くなる。
おれは
自分で思っているより
やばいくらい
田所さんに
惚れてるみたいだ。