恋に負けるとき

田所さんフリーク 下がるの巻






人気のない教室で、タケたちと




部活までの時間をつぶす。




今日は雨で




外も走れないし




学校側の行事で、中途半端な時間まで




体育館が使えなくて




身体が、早く動きたがって




時間が経つのが




まちどおしい。




「お前すごいね。



プッシュしまくり。田所さん」



ユタカが携帯イジリながら言う。



「てかさ。




そんないいか?



田所さんかわいいけど…




色気なくない?




色気っていうか、なんか…




手だしちゃいけない感じしない?



おれだけ?」



タケがアンパンを頬ばりながら



言った。




「わかる。



おれ、田所さんとやるの想像できないわ。」



ユタカが笑って言う。




「子供っていうか。妹感あるよな。



あーいう子は汚しちゃいけないんだぞー。渋谷」



ユタカがふざける。




「渋谷、手だせんの?田所さんに。



オカズにしたりしてんの」





「アホ。」



おれは読んでいたバレー雑誌を閉じて




あきれたように言う、




「頭ん中じゃ、何回もやってるっつーの」




バリバリ対象に決まってんだろ。




最近じゃ、田所さんしか想像してねーわ。






「あーあ、



やべえ」




タケの乾いた声。




は?




おれは顔をあげる。



タケの視線は俺の後方。




振り返ると、




マジデスカ




…田所さん。



教室の入口で、




逃げ遅れたかのように、固まっている。



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