恋に負けるとき
「あのっ。あのっ。」
遠くから焦った声と
パタパタ。
走ってくる音。
田所さんが、廊下の向こうから
…
…
(チョコマカだから。)
やっと、俺たちのところにやってきた。
「あの。わたしがハッキリしないから。
悪くて
坂田さん(麻美)たちの言ってることは、
多分…間違ってなくて」
息きらして
一生懸命
なぜか、
俺を!
なだめようとする田所さん。
麻美たちは、
田所さんの底抜けの人の好さに
「何よ」って言おうとしたのに
面食らって、何も言えなくなっている。
「いこ」
やっとそれだけ言うと、麻美たちは
三人で連れ立って行ってしまった。