恋に負けるとき
昼休みの体育館裏は、
日が差してあったかくて。
近くで、騒ぐ声が時折
聞こえるのに
人気の無さに、変な感じだ。
空気が止まったみたいで
名前の知らない花が微動だにせず、
咲いている。
もしかして雑草かな。
手のひらがじっとりする。
やっば。すげえ、緊張する。
考えたら、告白なんて初めてだ。
あ、来た。
俺に気づいて
ちょっと小走りな田所さん。
静止していた空気が動きだす。
「どうしたの?渋谷君」
田所さん。
普通。
全然感づいてない感じ。
何の話だと思ってんだろ。
「来てくれて、ありがとう」
「うん?」
「好きなんだけど、
付き合ってくれない」
ああ、声が上ずった。
緊張しすぎて、前置きもなしに
直球で言ってしまった。
なんなの。これ。
マジ、心臓やべえ。